不思議と体が熱い。 ぎゅ、と胸の辺りを握り締めれば背中を誰かに叩かれる。
はゆったりと振り返れば、何を考えているのか分からないような表情をしたチームメイトがこちらをじっと見据えている。
……いらぬ心配でもかけただろうか。
「何だよ、へーま」
「……緊張してる?」
オレンジ色のユニフォーム。 オレンジ色のソックス。 黒にオレンジのラインのスパイク。 ちらりと向こうを見れば、自分たちの上位組織であるチームのサポーターたちが神妙な顔でこちらを見据えていた。
これから始まる試合を、彼らはどう捉えてくれるのだろうか。
期待の新星か、もしくは今年は駄目か……。そういったところだろう。
サッカーを「好きだから」続けている。そして、このチームを志願したのは本当にこのチームで歩き続けたいからだ。同じ理由で平馬もまた、居る……と勝手には解釈している。実際はどうかは分からないけれど、意外に熱い部分があるのは付き合っていれば分かることだ。
お互いに中学二年生。 おそらくユースにあがれる人間はまた、絞られていく。
先日読んだサポーター雑誌に、来年卒業するユースの人間のインタビューが載っていたのを思い出す。
、と、FWのひとつ上の先輩に同じように声をかけられると、彼は大きくうなずき返した。
円陣を組み、キャプテンであるDFの要、センターバックのチームメイトが勝つぞ、と一言はっきりと言い放った。
「おう!」
背筋がピン、と伸びていく
広い広いフィールドで、は深呼吸をひとつ。
……勝てるだろうか、というような不安ではない。
自分は自分の仕事をやり、そしてそれ以上に自分が力になれることをやる。
ベストを尽くす。全力を出し切って、勝つことだけを考える。
それだけだ。
上位組織であるプロチームのサポーターたちがサンバの音をとり始める。耳慣れた明るい音楽が流れ出す。
自分たちに応援歌はまだない。 けれど、それでも、あのトップチームと同じ音楽が今自分たちに向けられて流されている。
自分たちが求めているフィールドに、今こうして立っている。
それだけで、今、にとって十分だった。
開始を告げるホイッスルの音が鳴り響くと、はその足を使って、思い切り大地を蹴っ飛ばした。
(2008.12.22*WEB拍手を加筆修正)