
くくく、と思わずおかしくなっては盛大に喉で笑う。横で咳払いをするカミュが見えたが、そんなものはお構いなしだ。
先ほどまでの張り付いた、それでいて紳士的な笑顔は何処へ姿を消したのか不思議でしょうがない。
何が可笑しい、とその視線が訴えていたのだが、そういう態度が可笑しいといえばきっと怒られてしまうので彼女は一通り笑うとため息をつくことで会話を終わらせようと試みた。……結果は惨敗にすぎなかったのだけれども。
「貴様、笑っている場合か」
「ごめんなさい、その、なんていうか」
あなたが余りにも可愛らしいものだから。最早砂糖菓子に等しい珈琲を吸い込んだそれを見ながら、は笑う。先ほどまで牛乳など邪道であると鼻で笑っていたとは到底思えない要素だ。彼の同業者で後輩に当たる人間をは心のなかでひっそりと不憫であるとも思うのだが、彼も彼で喋り方がカミュを煽るような口調のせいで波長が合うまでに時間がかかりそうであることは目に見えてわかる。
時間が解決するか、もしくはあの少年、愛島セシルが実力をつけてカミュを認めさせるしか無いのだろう。難儀なことである。表情がころころ変わる愛島セシルと随分とオンオフの差が激しいカミュとではお互いに乖離し合うものがあるのだろう。目の前に置かれたティーセットはカミュの手元にある珈琲と違い砂糖が入っていないストレートティーだ。
彼との優雅なティータイムはカミュの口調のせいか全くを持って優雅さを兼ね揃えていないのだが、にとってはそれなりに、楽しい一刻でもある。口にすれば間違い無く眉間の皺がより濃くなってしまうので、口にしないように心がけているのだが、カミュは可愛いところもある。アレキサンダーの散歩を例えば、自分で行うところだとか。砂糖を山盛りにして飲むところだとか。交流会と言われてやったことといえば子供じみたそれだとか。……どれにしても、上げてみると幼い子供の発想とあまり代わり映えしない。
「マスターコースも大変なのね」
「ふん、今更だろうが」
彼の言葉に耳を傾けながら、はティーカップに注がれている琥珀色の紅茶を口に含む。ストレートなのに、どこか甘いその味に思わず口元が緩んだ。
愛島セシルとの新曲の評価は上々だと耳にする。七海春歌という新たな作曲家の卵が紡ぎだす音はカミュにも、そしてセシルにもよくあっている。彼らをつなぎ合わせる糸のような、そんな存在であることはなんとなしには察した。
「いいなぁ、私も作ってもらえないのかしら」
「愚民に頼むなど、馬鹿げている」
「愚民って」
相変わらずの物言いに苦笑いをしているとカミュは不意に視線をそむけた。
何故そむけたのか解せずにいると彼は一言だけ、ばっさりと彼女に言葉を言い放つ。
「貴様は胸を張り俺の隣にいれば良い」
「……それは、私を認めているという言葉ととっていいの?」
2つ目の言葉はなかったが、彼は静かにコーヒーを飲んでいるのではどう言葉を投げたらいいのか分からず、ただ妙にこみ上げてくる嬉しさに顔が緩み、静かに「ja」とだけ答えた。
*ロマン様リク「うたプリ・カミュ/ティータイムをする二人/認めてないようで認めてるカミュ」