運命という罠

運命だろうと天命だろうと要するに不運であると言う話だ。
泣きそうになってぼやくに彼はそうだなあと曖昧に言葉を濁した。
退屈凌ぎにとくだらないやりとりを繰り返していた彼らの空気は既に張り詰め、彼女のお手玉は手のひらの上を転がり落ちている。

「泣くなよなあ、
「無理だよ」

どうして彼は死ぬのか。
どうしてこの世界に彼女はいるのか。
そしてどうして運命は覆せないのか。
答えは誰も持ち合わせていない。はぼやくように神様の嘘つき、と呟いた。

「なあにが信じる者は救われる、よ」

救われたいのに、手を伸ばしたって見てるだけな神様なんている意味あるのかしら。
ぶちぶちと文句を言う彼女に、平助は宥めるようその手で遮る。

「でも、こう言う風に自分たちで決められるのはそりゃー、有る程度は運命だろうけど、自分で決めてるんだから俺は文句ないけどな」
「平ちゃんはね。私はあるよ」
は強欲だなあ」

こうして笑っていることもまた、運命なら俺は神様がいるならそれなりに感謝してるよ。平助は言う。
その言葉にはぶっきらぼうに視線をそらし、団子を口に放り込んだ。

?」
「そうやってすーぐ甘やかすんだから!」

けれど、運命に引き寄せられた彼らを笑う神はいない。
何か罠でもありそうなのに微妙なラインを行き来している今を……は甘受しながら「お気楽だねえ」といつも通りの棘をちくりとさしてやった。
けれどどこ吹く風の平助に叶わないとわかるや串の最後のみたらし団子を一口で食べ切ってやる。

彼らのつながり続ける運命はいかに。
どこに向かうのかわからないまま、こうしてまた。一日が過ぎて行く。
笑った彼と、呆れた彼女。こんな彼らの日常を神が笑うことを、彼らはまた、知らない。

@60min_write: 2014.07.24のお題『運命という罠』