「眠そうな顔してるけど、寝不足か」
「……なんだ士郎くんかあ」
なんだってなんだよ。衛宮士郎という男は私に向かってちょっと不機嫌に言い返した。
彼は相変わらず私に対しての扱いがちょっと他の子たちに比べてぞんざいな気がする。それは多分私の気のせいなんかじゃない。凛は言う。「あんたがいつもケラケラ笑ってるからじゃないの」と。
だが反論していいなら「お互い様だと思う」とあえていいたい。だって士郎くんがぞんざいになればなるほど私は彼にちょっかいを出したくなるのだ。
そして女性陣にいじられている彼を見る度に「ああかわいそうに」となるが笑っているのは決して悪意があってじゃない。微笑ましいからだ。
「退屈だね、士郎くん」
「そうだな」
「暇だからさ、カップルごっこしよう」
「なんでさ?!」
「面白そうだから」
よくわからない理論だな、と士郎くんは呆れて言う。そうだろうか。私はいたって真面目なつもりなんだけれど。
私は士郎くん曰く「突拍子もない」らしい。気まぐれというべきかマイペースというべきか。まぁそこはポジティブにとるかネガティブにみるかの違いじゃないだろうか。
例えるならかき氷に宇治抹茶をかけるかいちごをかけるか、みたいな違い。うん、そんなかんじ。口に出したら士郎くんは「いや、それは多分絶対違うと思うぞ」と言うのだ。
「だってさぁ、暇だし」
「散歩行けばいいだろ」
「士郎くんがいるのに〜」
よくわからない主張だ。
士郎くんはそう言って麦茶に氷を入れて差し出してくれた。
しぶしぶそれを飲めば士郎くんはやっと一息ついたようにため息を零す。
「」
「え」
「……カップルごっこって名前呼ぶんじゃないのか」
「えー」
士郎くんは実に突拍子もない。
私のことをあまり言えないのだ。
納得行かずそれは「カップル」ではないよ違うよと文句を言えば彼は腕を組んでじゃあどんなのさ、と聞き返してくる。
「ダーリンとか!」
「却下」
「えー」
そんな賑やかなやりとりを何度も何度もしているうちにお腹が空いて、笑って、私達はぐだぐだと出かけるのだ。
因みに、最後まで士郎くんは私を「マイガール」だの「ハニー」だの呼んではくれなかった。
(冗談でも言えば面白いのに!!)
2014.07.28 お題「マイ・ダーリン」