前奏曲は粛々と

「コドル3」

彼女が配置された学校のクラスは、可でもなく不可でもなく、至って普通の平均レベルのクラスだった。マグノシュタットという学術都市は彼女の板場所からすれば夢のまた夢の先の場所であり、その場所に現在彼女が居れること自体が一種奇跡に等しい。すれ違うとんがり帽子を被った金髪碧眼男子は大変品が良く、すれ違うだけでも彼から香るジャスミンの香りは品の良さを表しているようにも見える。
クラスメイト達と談笑を交わし、術の勉学に勤しむ。


「光、って言われても難しいよねえ」
「閃光弾とか?」
「弾丸で術式にする攻撃魔法ってこと?」

魔法はどこまでいっても、術式が法則として成り立っている。
クラスの一角で男子と女子混合になって法則を羊皮紙に書き散らしていくが、彼らの数式はどれもこれもぱっとしない。

「おい、コドル6の連中がまたやってるぜ」

窓の向こうでは身体を縮こませて怪談を登り続ける下級クラスの人々が教官に怒鳴り散らされている。馬鹿馬鹿しい、俺なら辞めるね、と嘲笑しあうクラスの男子たちを横目には手に持っているペンをただ走らせている。
方式は完璧だった。これをいつ実践するかという問題点だが……昼休みにでもやればいいだろう。
やってきた教官の姿に、帽子をかぶり直し彼女は授業の体制へと戻っていった。窓の外では相変わらずの激が飛んでいる。


「コドル1」
「……え?」
「コドル1だ、おめでとう、

君がうちのクラスから上に上がれるとは思っていなかったよ。教官の笑みに、思わずは顔をひきつらせた。
コドル1といえば最高クラスである。そして、そのクラスに自分が抜擢するとは微塵足りとも思っていなかった。彼女は、いつだって魔導のことで頭がいっぱいで、クラスの人々との論争の中で見出した魔法記号式をずらずらと並べて新しい生活の糧になる魔法を作り出していただけだ。
彼女にとって魔法とは防御であり攻撃であり退却魔法である。
生活の一部になっているそれに、クラス上級者たる資格があるのかどうか分からず何度も何度も見やるが―――答えはどうにも変わりそうにない。

本日、彼女はコドル3を経て、マグノシュタットへやってきて2年と三ヶ月。コドル1への昇格となった。


大体が捏造になります。